これまでの投資で一番の成功と、経緯を教えてください!
いつも参考にさせていただいています!投資を長く続けられていろんなことがあったかと思いますが、これまでで一番の成功と、そこにたどり着いた経緯を教えてください!
近年で印象に残っている投資
10年以上投資をしているので、一番を決めるのはむずかしいですが、近年だとセルシス(3663)(旧:アートスパークホールディングス)への投資がとくに印象に残っています!
セルシスは、クリエイターサポート事業(マンガ・イラスト・アニメ制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」販売など)と、UI/UX事業(車載向けソフトウェアの開発など)を手がけている会社です。
当時のセルシスは、クリエイターサポート事業が順調に成長している一方で、UI/UX事業は営業赤字で足を引っ張っているような状態でした。
UI/UX事業の赤字は、事業がうまくいっていないことに加え、10億円以上かけて買収した企業の「のれん償却費」負担が重く、利益を圧迫していることが原因でした。
「クリエイターサポート事業の伸びは素晴らしいけど、UI/UX事業の赤字が大きく、利益の見栄えが悪い状態ではなかなか評価されにくいだろう…」と考えながら、少額投資で様子を見ていたところ、2020年11月にUI/UX事業の「のれんの減損」を発表したのです。
のれんの減損をおこなうと、その期は多額の損失が計上されるので利益が大きく減ります。しかし、翌期以降のれんの減価償却費を計上しなくて済みます。
スミレ
つまり、来期以降は、クリエイターサポート事業のさらなる成長に加え、足を引っ張っていたUI/ UX事業の「のれんの償却費計上」がなくなることが予想できました。
すると、営業利益が増える、営業利益率が改善する、PERが切りさがるといった数字の変化が出てきます。
スミレ
数字の見映えがよくなれば、スクリーニングなどでひっかかり注目されやすくなることも期待できます。
加えて、減損と同時に2025年までの5年間で営業利益約8倍増の中期経営計画が発表されました。
強気な計画にも思えましたが「クリエイターサポート事業の成長やのれん減損を加味すれば達成できる可能性はある」と判断し、本格的に投資することを決めました。
セルシスへ投資した結果…
営業利益の見映えがよくなったことに加え、月次開示や優待新設などの発表も追い風となり、株価は半年ほどで2倍程度上昇し、満足のいく結果となりました!
短期間で株価が上がったことや、今まで勉強してきた投資知識(このケースでは、のれん・減価償却費・減損損失など)が実戦で役立ったことがうれしく、とても印象的な投資となりました♪
ちなみに…
このケースでは、売上の大部分を占めるクリエイターサポート事業が順調な一方で、売上貢献が少ない割に赤字幅が大きいUI/UX事業の減損だったので投資をおこないました。
しかし、売上の大部分を担っている事業で減損が発生した場合は、企業の先行き不透明感が強まります。
また、減損の金額が大きすぎる場合は、自己資本比率が大幅に低下し、最悪の場合は債務超過となるおそれもあるので、減損だけで買いという判断するのはおすすめできません。
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お悩み相談室 室長のプロフィール
スミレ(投資ブロガー)
20代の主婦投資家です。株式投資歴は8年を超えました!「株式投資の育て方」という投資ブログで、株式投資の考え方や注意点などを、初心者の人にもわかりやすく解説しています。
スミレ
同社に興味をもったきっかけは、同社販売の「CLIP STUDIO PAINT」を家族が使っていたことです。